理事会の役割、理事の権限

 社団法人から一般社団法人となったときに大きく変わったこともあるのかも知れませんが、一般社団法人の理事会の役割や理事の権限が、あまり知られていないようです。

 JARLは平成23年11月に一般社団法人となりました。社団法人に適用される法律は民法でしたが、一般社団法人に適用される法律は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律です。

 17人の理事の内、法人の業務の執行の権限を持つのは、代表理事(会長)と業務執行理事(専務理事)の2人だけです。他の15人の理事には業務執行権はなく、その活動は基本的に理事会の中のみで、議案を提案したり、決議事項や報告事項を審議し、決議事項の議決に関わります。

 理事会の職務には3つあります。

 一つ目は業務執行の決定です。これは例えば予算案や事業計画案を審議して予算や事業計画を決定することです。予算や事業計画に基づき、事業を行い予算を執行するのは、業務執行権限のある理事のみであり、業務執行権限のない理事は、その「決定」に関わるだけです。

 二つ目は理事の職務の監督です。代表理事と業務執行理事の職務には、法人の業務の執行という重要で大きな仕事がありますが、他の15人の理事の職務は理事会の中だけですから、あまり大きなものではありません。従って「理事の職務の監督」の主たる部分は、代表理事と業務執行理事の業務執行状況を理事会が監督するということであり、2人の理事を15人の理事が理事会での審議や決議を通じて監督をするということです。

 三つ目は代表理事と業務執行理事の選定です。

 決議に基づく業務執行の結果に対して損害賠償請求などが発生したときには、その決議において賛成した理事に対しても請求される場合があります。このため議事録では必ず出席した個々の理事の賛否を明確にする必要があります。理事会において監督される業務執行権限のある理事はもちろん、業務執行権限のない理事も緊張感をもって理事会に出席する必要があります。