免許制度の簡素化について その2

 前にも書きましたように、欧米のような免許制度へ一挙に変わることは極めて難しい状況です。しかし、段階的にはあり得るのではないかと考えています。

 移動する無線局であるアマチュア局の工事設計書では、「送信空中線の型式」を空欄とすることができます。空欄にすれば「送信空中線の型式」は、特定の型式に限定されないことになります。つまり何ら手続きなしに空中線の型式を変更できるということです。

 例えばこれを拡大して、無線設備が適合表示無線設備(技術基準適合証明を受けた無線設備、工事設計認証を受けたメーカー等が製造した無線設備等)であるときに、工事設計書における当該無線設備に関する記載を省略することができれば、運用する設備が適合表示無線設備である限り無線設備の変更手続きは不要になります。

 指定事項における電波の型式は、電波の型式を表示する記号が告示で定められており、一つの記号に複数の電波の型式を含む包括的な表示としております。既に指定されている記号に含まれる電波に型式であれば、これまで電波が発射できない電波の型式を追加する場合であっても指定事項の変更手続きは生じません。

 例えばこれを拡大して、指定事項については、その免許申請者又は免許人が持つ資格の範囲で通常免許される空中線電力、電波の型式及び周波数を全て指定すれば、上位資格を取得しない限り指定事項の変更は生じないでしょう。

 無線設備が適合表示無線設備であるという前提条件を置く時点で、免許人の自己管理という制度からは程遠いものとなります。また、容易には実現できないかも知れませんが、もし実現すれば相当な手続きの簡素化になるだろうと思います。