JARLのあるべき姿とは?

 一般社団法人であるJARLは法令上及び定款上以下のような団体です。

1 政府からの監督はない

 JARL総務省の監督下にある公益法人(旧民法第34条に基づき郵政省の許可により昭和34年に設立)でしたが、平成23年11月に社団法人(正確には特例社団法人)から、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(一般法人法)に基づく一般社団法人となりました。一般法人に移行した多くの法人と同様にJARLも「公益目的支出計画」を抱えていましたが、平成2928年度で終了しましたので、同計画の所管庁である内閣府公益認定等委員会の監督を受けることもなくなり、政府からの監督という点では完全に自由となりました。

2020.4.13 誤りがありましたので修正しました。平成29年度→平成28年

(参 考)

・旧民法第34条

 学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益に関する社団又は財団であって、営利を目的としないものは、主務官庁の許可を得て、法人とすることができる。

・公益目的支出計画

 一般社団法人へ移行した法人に対して「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」により義務付けられたものであり、簡単に言えば、社団法人時代に公益事業の実施により積み上げた財産を、一般社団法人移行後、継続する公益事業でこれがゼロになるまで使い尽くせというものです。法人の中には同計画終了までに数十年、数百年を要するという事例もありますが、JARLのように事業に当てられる収入の中で会費収入が大きな割合を占めており、社団法人時代に蓄積した財産がそう大きくない法人では、同計画が早期に終了するという仕組みとなっています。

2 活動する分野に制限はない

 NPO法人特定非営利活動法人)は活動できる分野に制約がありますが、一般社団法人にはこのような制約はなく、その定款で読むことができれば、どのような活動でも行うことができます。また、定款で読めなくても定款は社員総会の議決で変更することができますので、定款で読めない活動を行う必要があれば定款を変更すればよいということです。

3 利益の分配はできない

 一般社団法人は一般法人法で利益を社員に分配することが禁止されていますので、この点が株式会社とは根本的に異なる部分です。しかし事業を行い利益を出し、この利益を法人の活動に投入することは全く問題ありません。

4 会費に対価性はない

 JARLの会費には消費税が課税されていませんので、会費に対価性はなく何らかのサービスを受けることの対価として会費を払うものではないということです。

5 非営利法人である

 法人税に関しては、JARL法人税法施行令第3条第1項第2号に定められた剰余金の分配を行わないこと及び解散したときは、残余財産を国・地方公共団体や一定の公益的な団体に贈与することを定款第62条及び第63条に定めているので、「非営利型法人」に該当し、法人税法上の収益事業(34の事業)のみ課税されます。非営利でがあるが故の税制優遇措置があります。非営利ですから、財産上の利益の獲得を図るものではないということです。

6 アマチュア無線を発達させることにより社会貢献を目指す

 JARLの定款第3条「目的」には、「本連盟は、日本におけるアマチュア無線の健全なる発達を図ることをもって、内外の電波利用による科学技術の振興、災害の防止と被災者の支援及び国際相互理解の促進に寄与し、併せてアマチュア無線家相互の友好を増進することを目的とする。」とありますので、アマチュア無線を発達させることにより社会への貢献を目指しています。

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 JARLがまず目指すべきものは、アマチュア無線を発達させることです。これは、アマチュア無線の外側の世界との調和を取りつつ客観的な健全性を保ちながら、アマチュア無線家(アマチュア局免許人)の利益の保護や維持、拡大を図るとともに、アマチュア無線を行うための環境の整備・向上を促進することです。

 この「アマチュア無線の発達のため」の活動に賛同して会員となりその活動に参画し、会費を払っていただくことがJARLの本来の姿です。JARLの会員となることによって受けられるサービスやメリットが活動の一部にあっても構いませんが、アマチュア無線家(アマチュア局の免許人)が会員となるための主たる動機は、JARLの活動に対する賛同でなければなりません。

 JARLの主たる活動は「会員の利益のため」ではなく「アマチュア無線の発達のため」であり、この「アマチュア無線の発達のため」に会員となり会費を払っていただける団体でなくてはなりません。

 JARLの現状は、本来のあるべき姿とは明らかに異なる状況にあります。JARLを本来の姿とするためには多くの努力と時間を要すると思いますが、今回の社員選挙及び理事候補者選挙をその第一歩にすることができればと思います。