電波法施行規則一部改正案と同規則第3条第1項第15号のに規定に基づく告示案について

  電波法施行規則一部改正案と同規則第3条第1項第15号の規定に基づく告示案をみてみようと思います。あくまで私の個人的認識と意見です。

1 電波法施行規則一部改正案について

電波法施行規則一部改正案

(改正案)

十五 アマチユア業務 金銭上の利益のためでなく、もつぱら個人的な無線技術の興味によつて行う自己訓練、通信及び技術的研究その他総務大臣が別に告示する業務を行う無線通信業務をいう。

十六 簡易無線業務 簡易な業務のために行われる無線通信業務をいう。

(現 行)

十五 アマチユア業務 金銭上の利益のためでなく、もつぱら個人的な無線技術の興味によつて行う自己訓練、通信及び技術的研究の業務をいう。

十六 簡易無線業務 簡易な無線通信業務であつて前号に該当しないものをいう。

 「もっぱら」は、通常「ひたすら」などの意味で利用されていますが、法令で使用される語としては「主として」の意で利用され、電波法施行規則に規定する「アマチュア業務」の中には、「個人的な無線技術の興味によつて行う業務」ではない業務が元々あり得ます。それが何であるかは従来示されていません。

 なお、この「もっぱら」の語については、以下の疑問点があります。 

  電波法施行規則に規定するアマチュア業務の定義は以下のとおりです。 

アマチユア業務 金銭上の利益のためでなく、もつぱら個人的な無線技術の興味によつて行う自己訓練、通信及び技術的研究の業務をいう。

  この定義は、昭和25年6月30日に施行された最初の電波法施行規則の規定から変わっておりません。このアマチュア業務の定義は、1947年にアトランティック・シティーで開催された会議で採択された「RADIO REGULATIONS」における以下の「Amateur Service」の定義を翻訳したものと思われます。 

Amateur Service: A service of self training, intercommunication and technical investigations carried on by amateurs, that is, by duly authorized persons interested in radio technique solely with a personal aim and without pecuniary interest.

  この「RADIO REGULATIONS」は、その翻訳が逓信省告示第489号(官報号外第48号昭和23年12月20日)にあり、以下のとおりです。 

素人業務 素人すなわち金銭上の利益のためでなく、もつぱら個人的に無線技術に興味をもち、正当に許可された者が行う自己訓練、交信及び技術的研究の業務。

  また、現在有効な「Radio Regulations」における「amateur service」は以下の様に定められています。 

amateur service: A radiocommunication service for the purpose of self-training, intercommunication and technical investigations carried out by amateurs, that is, by duly authorized persons interested in radio technique solely with a personal aim and without pecuniary interest.

  この現行の「amateur service」の定義は、1979年世界無線通信主管庁会議(WARC-79)の最終文書に記載された「Amateur Service」の定義から変わっておりません。WARC-79の最終文書の翻訳である郵政省告示第915号(官報号外第88号昭和55年12月26日)における「Amateur Service」の定義は以下のとおりです。 

 アマチュア業務 アマチュア、すなわち、金銭上の利益のためでなく、専ら個人的に無線技術に興味をもち、正当に許可された者が行う自己訓練、通信及び技術研究のための無線通信業務

 「solely」を「もっぱら(専ら)」と訳すことでは一貫していますが、「solely」の意は「主として」ではなく、「唯一」、「単に」、「完全に」、「のみ」など他を含まないことの意です。また、「with a personal aim」の意を表現するとともに、「solely」は「with a personal aim」のみにかかることを明確にした方がよいと思われます。これらを踏まえれば、現行「Radio Regulations」の「Amateur Service」の翻訳は以下の様になるのではないかと思われ、「もっぱら」の語による曖昧さはなくなり、「個人的な目的のみをもって無線技術に興味」をもって行う業務ではない業務はアマチュア業務ではないことになります。 

マチュア業務 アマチュア、すなわち、金銭上の利益のためでなく、個人的な目的のみをもって無線技術に興味をもち、正当に許可された者が行う自己訓練、通信及び技術研究のための無線通信業務

  現行「Radio Regulations」は、正式には「国際電気通信連合憲章に規定する無線通信規則」であり、「国際電気通信連合憲章」は条約です。電波法第3条には「電波に関し条約に別段の定があるときは、その規定による。」の規定があり、仮に電波法に基づく総務省令である電波法施行規則と「Radio Regulations」との間に齟齬を生じるのであれば、「Radio Regulations」の規定を優先する可能性はあります。

2 告示案全体について

総務省告示第 号

 電波法施行規則(昭和二十五年電波監理委員会規則第十四号)第三条第一項第十五号の規定に基づき、総務大臣が別に告示する業務を次のように定める。

 令和 年 月 日

                        総務大臣武田 良太

 電波法施行規則第三条第一項第十五号に規定する、金銭上の利益のためでなく、もっぱら個人的な無線技術の興味によって行う総務大臣が別に告示する業務は、次の各号に掲げる業務とする。

一 特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第一項に定める特定非営利活動に該当する活動その他の社会貢献活動のために行う業務

二 国又は地方公共団体その他の公共団体が実施する事業に係る活動(これらに協力するものを含む。)であって、地域における活動又は当該活動を支援するために行うものであり、かつ、金銭上の利益を目的とする活動以外の活動のために行う業務

附 則

この告示は、公布の日から施行する。

(1)「個人的な無線技術の興味によって行う業務」ではない業務の追加

 電波法施行規則のアマチュア業務の定義同様、「もっぱら」は、「主として」の意であり、70~80%以上の意味ですから、同告示案の「もっぱら個人的な無線技術の興味によって行う総務大臣が別に告示する業務」には、「個人的な無線技術の興味によって行う業務」ではない業務があり得ます。

 今回の告示は、「個人的な無線技術の興味によって行う業務」ではない業務を含む業務を「アマチュア業務」追加したと思われます。実際、告示案に規定された業務の中には、「個人的な無線技術の興味によって行う業務」であるとは考えられないものがあります(例えば、消火活動中の消防団員が負傷者を発見しその救助活動を行うための通信を行うような場合)。この告示に規定される業務の少なくとも一部は「個人的な無線技術の興味によって行う業務」ではなく、これまで簡易無線業局、陸上移動業務の陸上移動局や基地局で行われているか行われるべきものと考えられます。このため「簡易無線業務」の定義から「前号に該当しないもの」を削除したと思われます。

(2)告示の規定は免許人自身の活動に対する条件

 アマチュア局の運用については、「アマチユア局の送信する通報は、他人の依頼によるものであつてはならない(無線局運用規則第259条)」、アマチュア局の開設については、「免許人以外の者の使用に供するものでないこと(無線局(基幹放送局を除く。)の開設の根本的基準第6条の2第3号)」の規定がありますので、アマチュア局の開設や運用は免許人自身のためであることが前提であり、免許人が所属する法人や団体の活動、アマチュア局免許人が協力又は支援をする対象となる法人、団体、個人等の活動のためではないと考えられます。

 告示に規定される業務は、免許人が自身の活動のために行う業務を規定するものであり、「金銭上の利益のためでなく」及び「金銭上の利益を目的とする活動以外の活動」も、免許人が所属する法人や団体の活動、免許人が協力又は支援をする対象となる法人、団体、個人等の活動に対する条件ではなく、免許人自身の活動に対する条件であると思われます。 

(3)「金銭上の利益のためでなく」について

 告示で規定される業務全体に対しては、「金銭上の利益のためでなく」が条件とされており、第2号に対してはさらに「金銭上の利益を目的とする活動以外の活動」が条件とされています。別添1の2ページ目の絵の中で、第2号の例示として、「有害鳥獣対策」の活動のためにハンター自身が免許人となるアマチュア局を運用するケースや「消防団活動」のために、消防団員自身が免許人となるアマチュア局を運用するケースが示されています。消防団員はその活動に対して報酬が支給され、害獣の駆除に対してもハンターには報酬が支給されますので、告示に規定する業務においては、無報酬が条件ではないことは明らかです。「金銭上の利益のためでなく」の条件が付されている以上、無制限ではないと思いますが、どのような報酬が可又は不可となるのかは明示的に示されていないのでわかりません。 

(4)法人免許人の可否

 無線局(基幹放送局を除く。)の開設の根本的基準には以下の規定があります。

(アマチユア局)

第六条の二 アマチユア局は、次の各号の条件を満たすものでなければならない。

一 その局の免許を受けようとする者は、次のいずれかに該当するものであること。

(1) アマチユア局の無線設備の操作を行うことができる無線従事者の資格を有する者

(2) 施行規則第三十四条の八の資格を有する者

(3) アマチユア業務の健全な普及発達を図ることを目的とする社団であつて、次の要件を満たすもの

(一) 営利を目的とするものでないこと。

(二) 目的、名称、事務所、資産、理事の任免及び社員の資格の得喪に関する事項を明示した定款が作成され、適当と認められる代表者が選任されているものであること。

(三) (1)又は(2)に該当する者であつて、アマチユア業務に興味を有するものにより構成される社団であること。

二 その局の無線設備は、免許を受けようとする者が個人であるときはその者の操作することができるもの、社団であるときはそのすべての構成員がそのいずれかの無線設備につき操作をすることができるものであること。ただし、移動するアマチユア局の無線設備は、空中線電力が五〇ワツト以下のものであること。

三 その局は、免許人以外の者の使用に供するものでないこと。

四 その局を開設する目的、通信の相手方の選定及び通信事項が法令に違反せず、かつ、公共の福祉を害しないものであること。

五 その局を開設することが既設の無線局等の運用又は電波の監視に支障を与えないこと。

 現在、法人であるアマチュア局免許人は一般社団法人であるJARLのみです。告示に規定された活動を行い、上記省令の規定を満たす法人であれば、アマチュア局の免許人となることは可能と思われます。 

3 告示第1号について

 「特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第一項に定める特定非営利活動」は以下の活動です。以下に示す活動に該当すればよく、特定非営利活動法人NPO法人)が行う特定非営利活動である必要はないです。

特定非営利活動促進法第二条第一項

 この法律において「特定非営利活動」とは、別表に掲げる活動に該当する活動であって、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするものをいう。

別表(第二条関係)

一 保健、医療又は福祉の増進を図る活動

二 社会教育の推進を図る活動

三 まちづくりの推進を図る活動

四 観光の振興を図る活動

五 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動

六 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動

七 環境の保全を図る活動

八 災害救援活動

九 地域安全活動

十 人権の擁護又は平和の推進を図る活動

十一 国際協力の活動

十二 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動

十三 子どもの健全育成を図る活動

十四 情報化社会の発展を図る活動

十五 科学技術の振興を図る活動

十六 経済活動の活性化を図る活動

十七 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動

十八 消費者の保護を図る活動

十九 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動

二十 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動

  「その他の社会貢献活動」ですが、「社会貢献活動」は、貢献の対象となる社会の範囲が様々であり、貢献にも直接的貢献、間接的貢献があり、活動にも個人から法人、団体まで各種活動がありますので、非常に多種多様の活動があると思われます。アマチュア局免許人の活動が、「特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第一項に定める特定非営利活動に該当する活動その他の社会貢献活動」であって、「金銭上の利益のためでなく」であれば、その活動のためにアマチュア局を運用できるということです。前述のとおり「金銭上の利益のためでなく」は、無報酬を意味するものではないということです。 

 なお、別添1の2ページ目の絵には、以下の活動が例示として示されています。

 

●災害ボランティアでの活用

 情報伝達・災害救助活動の支援

 避難所運営安否確認

 自主防災活動

 避難情報の収集・避難者の誘導

 消防団活動の連絡補助

 支援物資の運搬

 避難所・ボランティアセンターの運営

 がれきの撤去

 倒壊家屋の片付け

●ボランティア活動での活用

 マラソン大会・体育大会

 祭り・地域行事

 地域の清掃活動

 地域の観光案内

 上記の「災害ボランティアでの活用」における例示については、これまで目的外通信である電波法第52条第4号の非常通信として行われていたケースもあると思いますが、これらを「アマチュア業務」に含めたということです。

 別添1の2ページ目の絵には「ボランティア」の語の記載があります。「ボランティア」は、通常自己の意思で無償の活動を行う人を意味しますが、告示第1号には「ボランティア」の語はありませんので、告示第1号に規定される活動を行う者がボランティアであるという条件はありません。 

4 告示第2号について

 「地域における活動」及び「金銭上の利益を目的とする活動以外の活動のために行う業務」は全体に対する条件です。別添1の2ページ目の絵には例示として、消防団活動及び有害鳥獣対策が示されています。第2号が示す活動には、この二つの条件の下で次の4通りのケースがあります。

 なお、第2号には、第1号同様、ボランティアであるという条件はありません。

①国又は地方公共団体その他の公共団体が実施する事業に係る活動

②国又は地方公共団体その他の公共団体が実施する事業に係る活動に協力する活動

③国又は地方公共団体その他の公共団体が実施する事業に係る活動を支援するために行う活動

④国又は地方公共団体その他の公共団体が実施する事業に係る活動に協力する活動を支援するために行う活動

(1)消防団活動

 ①に含まれると思われます。特別職の地方公務員である消防団員が、例えば消防組織法に基づく消防事務を行うために、その消防団員自身が免許人となるアマチュア局を運用するということと思われます。

(2)有害鳥獣対策

 ④に含まれると思われます。例えば地方公共団体の事業として行われる有害鳥獣対策に対して、猟友会(公益社団法人又は一般社団法人)が協力し、猟友会の社員(一般法人法で規定される社員)であるハンターが猟友会の活動を支援する活動のために自身が免許人となるアマチュア局を運用するということと思われます。

(3)「協力」、「支援」について

 ②~④には「協力」や「支援」の語が使用されています。④の例示からみて、「協力」や「支援」に無償であるという条件はありません。

(4)「金銭上の利益を目的とする活動以外の活動」

 既に「金銭上の利益のためでなく」が条件とされている上に、「金銭上の利益を目的とする活動以外の活動」が条件として付されています。同じことを意味しているように見えますが、通常、同じ制約条件を二重にかけることはないので、この2つの違いは何でしょうか。 

5 告示は従来のアマチュア無線の性格を大きく変更

 告示案は、従来のアマチュア無線の性格を大きく変更するものであると考えられます。

  • 「個人的な無線技術の興味によって行う業務」ではない業務がアマチュア業務に含むと規定され、「個人的な無線技術の興味によって行う業務」ではない業務のためのみに、アマチュア局を開設し運用できること
  • 「個人的な無線技術の興味によって行う業務」ではない業務による通信と「個人的な無線技術の興味によつて行う自己訓練、通信及び技術的研究の業務」による通信が、同じ周波数帯において対等に行われること
  • アマチュア局免許人自身が報酬を得る告示に規定された活動のために、アマチュア局を運用することができること

6 課題と思われる点

(1)「金銭上の利益のためでなく」に抵触する場合が不明である

 無報酬が条件でないことは明らかですが、省令に規定する「金銭上の利益のためでなく」に抵触する場合がどのようなものであるのかが明らかになっていません。

(2)給与を得ている者は「金銭上の利益のためでなく」に抵触するのか

 以下のような告示に規定する活動により生活の糧として給与を得ている社員や職員は、その活動のために、自身が免許人となるアマチュア局を運用できるのかということであり、生活の糧として得る給与の対象となる活動は、省令に規定する「金銭上の利益のためでなく」に抵触するのかどうかということです。

  • 告示第1号に規定する社会貢献活動を事業として行う法人の職員がその事業に従事する活動のために、自身が免許を受けたアマチュア局を運用することができるのか。
  • 告示第2号に規定する事業を行う国又は地方公共団体その他の公共団体の職員がその事業に従事する活動のために、自身が免許を受けたアマチュア局を運用することができるのか。

(3)公共事業に関わる者はその活動のためにアマチュア局を運用できるのか

 国や地方公共団体の事業である公共事業を受注した企業の社員、受注した企業の下請けとなる企業の社員や個人事業者は、その公共事業に従事する活動のために自身が免許人となるアマチュア局を運用できるのかということです。

 公共事業は国や地方公共団体の事業であり、元受け企業、下請け企業及び下請け個人事業者は営利目的でそれぞれ公共事業を受注していますが、元請け企業は国や地方公共団体に有償で協力していると言えますし、下請け企業及び下請け個人事業者は元請け企業に有償で支援しているともいえます。その社員は、給与を得てその事業に従事するという点では、上記(2)の社員や職員と何ら変わりません。

(4)2種類の無線通信が対等な立場での混在

 「個人的な無線技術の興味によって行う業務」ではない業務による通信と「個人的な無線技術の興味によつて行う自己訓練、通信及び技術的研究の業務」による通信が同じ周波数帯で混在することになります。後者の業務は特定の時刻に特定の周波数で通信を行わねばならない必要性はあまり高くないと思いますが、前者の業務は、特定の地域で、特定の時間帯に特定の周波数を占有することが考えられます。消防団による人命の保全に関わる通信もありますので、干渉を可能な限り避けることが必要となる場合があるでしょう。

 前者の業務は非常に多岐にわたり、土日祭日などに非常に多数のアマチュア局が多くの地域で運用される場合が考えられます。また、テンポラリに行われる活動では、通信はその活動が行われたときのみ行われますが、法人や団体が年間を通じて継続的に行っている活動では、常時継続的に行われる通信や周波数を定めて待ち受けが必要な通信もあり得ます。

 前者の業務を確実かつ円滑に行うためには、両業務の周波数による住み分けが必要であると思われますが、これはJARLがバンドプランで定めるのでしょうか。法令に基かないルールに実効性があるでしょうか。一方で、前者の業務による通信と後者の業務による通信を周波数で住み分けてしまうと、事実上、後者の業務のための周波数帯の削減となりそうです。

 

JARLのあるべき姿とは?

 一般社団法人であるJARLは法令上及び定款上以下のような団体です。

1 政府からの監督はない

 JARL総務省の監督下にある公益法人(旧民法第34条に基づき郵政省の許可により昭和34年に設立)でしたが、平成23年11月に社団法人(正確には特例社団法人)から、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(一般法人法)に基づく一般社団法人となりました。一般法人に移行した多くの法人と同様にJARLも「公益目的支出計画」を抱えていましたが、平成2928年度で終了しましたので、同計画の所管庁である内閣府公益認定等委員会の監督を受けることもなくなり、政府からの監督という点では完全に自由となりました。

2020.4.13 誤りがありましたので修正しました。平成29年度→平成28年

(参 考)

・旧民法第34条

 学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益に関する社団又は財団であって、営利を目的としないものは、主務官庁の許可を得て、法人とすることができる。

・公益目的支出計画

 一般社団法人へ移行した法人に対して「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」により義務付けられたものであり、簡単に言えば、社団法人時代に公益事業の実施により積み上げた財産を、一般社団法人移行後、継続する公益事業でこれがゼロになるまで使い尽くせというものです。法人の中には同計画終了までに数十年、数百年を要するという事例もありますが、JARLのように事業に当てられる収入の中で会費収入が大きな割合を占めており、社団法人時代に蓄積した財産がそう大きくない法人では、同計画が早期に終了するという仕組みとなっています。

2 活動する分野に制限はない

 NPO法人特定非営利活動法人)は活動できる分野に制約がありますが、一般社団法人にはこのような制約はなく、その定款で読むことができれば、どのような活動でも行うことができます。また、定款で読めなくても定款は社員総会の議決で変更することができますので、定款で読めない活動を行う必要があれば定款を変更すればよいということです。

3 利益の分配はできない

 一般社団法人は一般法人法で利益を社員に分配することが禁止されていますので、この点が株式会社とは根本的に異なる部分です。しかし事業を行い利益を出し、この利益を法人の活動に投入することは全く問題ありません。

4 会費に対価性はない

 JARLの会費には消費税が課税されていませんので、会費に対価性はなく何らかのサービスを受けることの対価として会費を払うものではないということです。

5 非営利法人である

 法人税に関しては、JARL法人税法施行令第3条第1項第2号に定められた剰余金の分配を行わないこと及び解散したときは、残余財産を国・地方公共団体や一定の公益的な団体に贈与することを定款第62条及び第63条に定めているので、「非営利型法人」に該当し、法人税法上の収益事業(34の事業)のみ課税されます。非営利でがあるが故の税制優遇措置があります。非営利ですから、財産上の利益の獲得を図るものではないということです。

6 アマチュア無線を発達させることにより社会貢献を目指す

 JARLの定款第3条「目的」には、「本連盟は、日本におけるアマチュア無線の健全なる発達を図ることをもって、内外の電波利用による科学技術の振興、災害の防止と被災者の支援及び国際相互理解の促進に寄与し、併せてアマチュア無線家相互の友好を増進することを目的とする。」とありますので、アマチュア無線を発達させることにより社会への貢献を目指しています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 JARLがまず目指すべきものは、アマチュア無線を発達させることです。これは、アマチュア無線の外側の世界との調和を取りつつ客観的な健全性を保ちながら、アマチュア無線家(アマチュア局免許人)の利益の保護や維持、拡大を図るとともに、アマチュア無線を行うための環境の整備・向上を促進することです。

 この「アマチュア無線の発達のため」の活動に賛同して会員となりその活動に参画し、会費を払っていただくことがJARLの本来の姿です。JARLの会員となることによって受けられるサービスやメリットが活動の一部にあっても構いませんが、アマチュア無線家(アマチュア局の免許人)が会員となるための主たる動機は、JARLの活動に対する賛同でなければなりません。

 JARLの主たる活動は「会員の利益のため」ではなく「アマチュア無線の発達のため」であり、この「アマチュア無線の発達のため」に会員となり会費を払っていただける団体でなくてはなりません。

 JARLの現状は、本来のあるべき姿とは明らかに異なる状況にあります。JARLを本来の姿とするためには多くの努力と時間を要すると思いますが、今回の社員選挙及び理事候補者選挙をその第一歩にすることができればと思います。

JARL理事会の課題(協議事項の存在)

 

 理事会の議題は基本的に「決議事項」及び「報告事項」のみです。決議事項は、例えばある事業を着手するための計画案(目的・必要性、内容、期間、支出・収入見込など)が議案として理事会に提案され、これを審議の後計画案が妥当であると議決されれば、事業着手を決定する事項であり、報告事項は、例えばある事業の実施状況について理事会へ報告が行われこれを審議する事項です。

 審議とは、決議事項又は報告事項として提案された議案の内容について、その問題点などその内容、成果等の良し悪しについて議論を行うことです。決議事項においては、例えばある事業を着手するための計画案が議案であるときに、審議の後問題点などがあることが明らかとなり、修正案が議案として提案されて理事会で議決されれば当該事業の計画は修正されます。報告事項においては、例えば当該報告が進行中の事業に関するものであって、審議により事業に問題点があることが明らかとなり、この事業の中止を代表理事へ指示する議案が提案され、これが議決されれば当該事業が中止されます。審議は、一般法人法に定める理事会の職務である「業務執行の決定」及び「理事の職務執行の監督」を達成するための重要な行為です。

 JARLの理事会の議題には「協議事項」という「決議事項」及び「報告事項」ともつかないカテゴリがあります。第45回理事会で提案のあった「ハムフェア20192020の中止」はこの「協議事項」の中で口頭により行われたものです。当初は状況報告のように見えたのですが、これは理事会の承認を求めているものかとの問いには是との回答があり、それならば決議事項とすべきと指摘しました。

 「協議事項」は、決議事項であるか報告事項であるかを曖昧にしており、廃止すべきと主張しましたが継続しております。

 なお、理事間で情報交換や意見交換を行い、共通認識を醸成する場を設けることについては全く問題ないですが、その場は一般法人法に定められた「理事会」ではありませんので、理事会の議題とすべき「決議事項」や「報告事項」をこの場に持ち出すことはできません。

 

2020.4.5 誤りがありましたので修正しました。「2019」→「2020」

JARLの委員会における課題

 JARLには複数の委員会が設置されています。委員会については、「定款」、「規則」及び「委員会の設置及び運用に関する規程」に規定があります。

 定款第66条第1項で定める「専門の事項に関し、理事会を補佐するために委員会を設ける」及び委員会の設置及び運用に関する規程第2条で定める「連盟の行う事業に関して専門的事項について理事会の諮問事項を検討」の意味する委員会の任務は、理事会による業務執行の決定のための審議を効率よく行うためのものであると考えられます。17人の理事のうち16人が非常勤であり、理事会の開催も年5~6回程度ですので、全ての案件の検討を理事会の中だけで完結させることは不可能です。

 委員会は理事会から諮問された事項に関し、関係する情報の収集・調査・分析、関係者や有識者からの意見聴取等行い、諮問事項に関わる論点を整理して、選択肢がある場合にはそのメリット・ディメリットの比較検討を行い、これらを総合的に評価し論理的・合理的に検討して結論の案をその理由・根拠とともに記載した文書が理事会への答申です。理事会は答申をベースに審議し、業務執行の決定を行うのですから、委員会の答申はJARLの運営において非常に重要なものとなります。

 しかし、私が出席した理事会において、委員会からの答申が文書化されておらず、口頭説明だけであるものがあったこと、答申が結論だけで理由の説明がないものがありました。このため、理事会での審議が白紙からの議論となり、委員会での検討がほとんど無意味となるケースがありました。答申がその理由・根拠とともに文書化されていなければ、過去の業務執行の決定の経緯をレビューすることもできません。

 また、規則第34条では「年度を越えて検討を継続する場合には、各年度ごとに中間報告を行わなければならない。」と規定されていますが、中間報告はほとんど行われておらず、個々の諮問に対する検討の進捗状況が全く把握できない状況です。理事会が検討状況をみて、委員会に対して追加の検討を要請する場合や検討の方向性を修正することもあり得ます。

 委員会への諮問、委員会からの答申及び中間報告の適正化を図るため、第48回理事会へ以下の議案の提案をしましたが残念ながら否決されました。

 「委員会への諮問及び委員会からの答申の適正化を図るための理事会規定及び委員会の設置及び運用に関する規程の一部改正並びに委員会からの中間報告の徹底について」

 定款の規定にあるとおり委員会は答申を通じて理事会を補佐し、法人としての意思決定に関わる重要な役割を負うものです。今後も委員会の運営の適正化に努力したいと考えています。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

定 款(抄)

第66条 本連盟は、専門の事項に関し、理事会を補佐するために委員会を設ける。
2 委員会には、委員長1名、委員若干人を置く。
3 委員長は、会員の中から理事会の決議を経て選任し、委員は、委員長の推薦によって会長が委嘱する。

 

規 則(抄)

第9章 委員会
(委員会の報告)
第34条 連盟が設置した委員会が設置目的である検討事項の検討を完了したときは、委員長から会長に報告書を提出するものとする。なお、年度を越えて検討を継続する場合には、各年度ごとに中間報告を行わなければならない。
(解散)
第35条 会長は、委員長から検討完了の報告を受けた時は、理事会に諮ってこれを解散することができる。

 

委員会の設置及び運用に関する規程

(目的)
第1条 この規程は、定款第66条の規定に基づき、委員会の設置及び運用に関し定めることを目的とする。
(委員会の任務)
第2条 委員会は、連盟の行う事業に関して専門的事項について理事会の諮問事項を検討し又は事務局の業務の一部について、その処理を援助するものとする。
(実務委員会)
第3条 前条の事務局の業務の一部についてその処理を援助する委員会の設置及び運用に関しては、委員会ごとに定める。
(委員会の設置)
第4条 委員会は、理事会の決定により設置される。
2 委員会の設置期間は、原則として理事会がその設置を決定した日から、役員の任期満了により改選された新役員による理事会において委員会の設置が決定されるまでの間とする。なお、同日以降引き続き委員会を存置しようとするときは、理事会の決定に基づき新たな委員会として設置し、その任務を引き継ぐものとする。
3 委員会が、その任務を達成したとき又は理事会が委員会の存続の必要がないと認めた時 は、前項の規定にかかわらず期間中であっても、当該委員会を廃止することができる。
4 委員会の必要とする設置期間を見込める場合は、第2項前段の規定にかかわらず、その期間を限定した委員会を設置することができる。
(委員会の構成)
第5条 委員会は、委員長及び委員をもって構成する。
2 委員会に顧問をおくことができる。
3 会長は、理事会の推薦に基づき、委員長及び顧問を人選し、当人の同意を得て、それぞれその職を委嘱する。
4 会長は、委員長の推薦に基づき、専務理事と協議して委員を人選し、当人の同意を得て、 その職を委嘱する。
5 委員長及び委員は、正員である者とする。
(委員長の解職)
第6条 会長は、委員会が廃止されたときは委員長、委員及び顧問を解職するものとする。
2 理事会は、委員長又は顧問がその職に不適任と認めたときは会長に委員長又は顧問の解職を要請することができる。
3 会長は、前項の要請があったときは委員長又は顧問を解職することができる。
4 委員長は、その職に不適任と認めた委員の解職を会長に要請することができる。
5 会長は、前項の要請があったときは専務理事と協議し、当該委員を解職することができる。
(委員会の開催)
第7条 委員長は、専務理事と協議し、委員会を開催する。
2 理事会は、必要と認めたときは委員会の開催を要求することができる。
3 前項の要求があったときは、委員長は速やかに委員会を開催しなければならない。
4 委員会は、必要があるときは参考人の出席を求め、意見を聴取することができる。
(文書委員会)
第8条 委員会は、文書による委員会を開催することができる。
2 前項の委員会の開催には、前条第1項の専務理事との協議は要しないものとする。
(分科会)
第9条 委員会は、必要により分科会を置くことができる。
2 分科会は、委員長の指名する委員及び学識経験がある専門委員をもって構成する。
3 会長は、委員長の推薦に基づき、学識経験がある者から専門委員を人選し、当人の同意を得て、その職を委嘱する。
4 分科会に長を置き、委員長の指名する委員がこれに当たる。
5 専門委員の任期は、その分科会の属する委員会の委員の任期に同じとする。
6 会長は、委員長の報告により、分科会が廃止されたとき又は専門委員としての任務を達成したと認めるときは、前項の規定にかかわらず、その専門委員を解職するものとする。
7 第6条第4項及び第5項の規定は、専門委員の場合に準用する。
8 分科会の運営に関し必要な事項は、委員長が定める。
(報告)
第10条 委員長は、委員会を開催したときは委員会の検討結果及びその結果を、その都度会長に報告するものとする。
2 前項の検討の結果、諮問事項について結論を得たときは、結論を会長に答申するものとする。この場合、委員会の存置又は廃止についての意見を答申に付するものとする。
3 理事会は、第1項の報告又は前項の答申について、委員長の出席を求め、説明を要求することができる。
(内規)
第11条 委員会の内規は、委員長が専務理事と協議し作成するものとする。
(委員会の事務)
第12条 委員会の事務は、事務局があたるものとする。

附 則
 この規程は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第50号)第121条第1項において読み替えて準用する第106条第1項に定める一般社団法人の設立の登記の日から施行する。

国際電気通信連合(ITU)に関わる活動について

 国際電気通信連合(ITU:International Telecommunication Union)は、世界193か国の通信行政を担当する行政機関、電気通信や電波に関わる企業、大学、国際機関、地域機関などが参加しています。アマチュア無線に関わるITUの活動では、新規の周波数の分配などが行われる場として、世界無線通信会議(WRC:World Radiocommunication Conferences)が一番知られていると思いますが、その全体像はあまり知られていないようです。以下に最近のWRCにおけるアマチュア業務への周波数分配などを示します。

 

 WRC-19(2019年世界無線通信会議)10/28-11/22 シャルム・エル・シェイク

   第一地域における50-52MHzへの二次分配(他脚注分配あり)

   最終文書:告示未公布

   https://www.itu.int/pub/R-ACT-WRC.13-2019/en

 WRC-15(2015年世界無線通信会議)11/2-11/27 ジュネーブ

   5351.5-5366.5kHzへの二次分配

   最終文書:平成28年総務省告示第473号

   https://www.itu.int/pub/R-ACT-WRC.12-2015/en

 WRC-12(2012年世界無線通信会議)1/23-2/17 ジュネーブ

   472-479kHzへの一次分配

   最終文書:平成24年総務省告示第479号

   https://www.itu.int/pub/R-ACT-WRC.9-2012/en

 WRC-07(2007年世界無線通信会議)10/22-11/16 ジュネーブ

   135.7-137.8kHzへの二次分配

   最終文書:平成20年総務省告示第727号

   https://www.itu.int/pub/R-ACT-WRC.8-2007/en

 WRC-03(2003年世界無線通信会議)6/9-7/4 ジュネーブ

   7100-7200kHzへの一次分配

   最終文書:平成16年総務省告示第975号

   https://www.itu.int/pub/R-ACT-WRC.7-2003/en

 

 WRCはおおむね3年か4年ごとに開催され、「国際電気通信連合憲章に規定する無線通信規則」(RR:Radio Regulations)の改正が審議され決定されます。このRRの第5章に周波数の分配が規定されており、ここにどの無線通信業務にどの周波数帯を分配するかが決められています。WRCの議題は、前回WRCにおいて決議され、その後のITU理事会において、日程、開催場所とともに正式に決定されます。WRCでの審議は、WRCの数か月前に開催される会議準備会合(CPM:Conference Preparatory Meeting)で作成されるCPM報告がベースとなります。CPM報告はWRCの議題ごとに解決案の候補をその技術的根拠ととも示すものであり、この検討は議題別にITUの無線通信部門(Radiocommunication Sector:ITU-R)に設置された6つの研究委員会(SG:Study Group)の下に置かれたWorking Party(WP)で分担して行われ、その検討結果がCPMへ入力され、CPMであらためて検討されて1本のCPM報告としてまとめられます。アマチュア業務やアマチュア衛星業務に関するWRC議題の検討を行うのは、SG5(Study Group 5)の下にあるWorking Party 5A (WP5A)です。以下にWRC-19に入力されたCPM報告を示します。この711ページからWRC-19議題1.1「第一地域における50-54MHzのアマチュア業務への分配」についての記載があります。

 https://www.itu.int/pub/R-ACT-CPM-2019

 ITU-Rの役割は、CPMレポートのための検討を行うだけでなく、周波数の有効利用やより高度な利用のための技術基準の策定、これらの普及周知等を目指して、研究課題(Question)を定め、勧告(Recommendation)、報告(Report)、ハンドブックの策定などを行っています。以下に現在有効なアマチュア業務及びアマチュア衛星業務に関わる研究課題、勧告、報告、ハンドブックを示します。

 

Questions(2件) SG5担当の全体 https://www.itu.int/pub/R-QUE-SG05/en

48-7/5  Techniques and frequency usage in the amateur service and amateur-satellite service

209-6/5  Use of the mobile, amateur and the amateur-satellite services in support of disaster radiocommunications

 

Recommendations(7件) Mシリーズ全体 https://www.itu.int/rec/R-REC-M/en

M.1041 Future amateur radio systems

M.1042 Disaster communications in the amateur and amateur-satellite services

M.1043 Use of the amateur and amateur-satellite services in developing countries

M.1044 Frequency sharing criteria in the amateur and amateur-satellite services

M.1544 Minimum qualifications of radio amateurs

M.1732 Characteristics of systems operating in the amateur and amateur-satellite services for use in sharing studies

M.2034 Telegraphic alphabet for data communication by phase shift keying at 31 baud in the amateur and amateur-satellite services

 

Reports(8件) Mシリーズ全体 https://www.itu.int/pub/R-REP-M/en

M.2085 Role of the amateur and amateur-satellite services in support of disaster mitigation and relief

M.2117 Software-defined radio in the land mobile, amateur and amateur-satellite services

M.2200 Characteristics of amateur radio stations in the range 415-526.5 kHz for sharing studies

M.2203 Compatibility of amateur service stations with existing services in the range 415-526.5 kHz

M.2226 Description of amateur and experimental operation between 415 and 526.5 kHz in some countries

M.2281 Characteristics of amateur radio stations in the range 5 250-5 450 kHz for sharing studies

M.2335 Sharing and compatibility analysis of possible amateur service stations with fixed, land mobile, and radiolocation services in the frequency band 5 250-5 450 kHz and the aeronautical mobile service in an adjacent band

M.2478 Spectrum needs for the amateur service in the frequency band 50-54 MHz in Region 1 and sharing with mobile, fixed, radiolocation and broadcasting services

 

Handbook(1件)

Amateur and amateur-satellite services

 

 WRCでの審議、CPMレポート、勧告、報告等の策定における日本としての対応は、政府を含む国内の利害関係者との調整を経て定められる対処方針に基づきます。ですから国内に利害の対立があるような案件では、特定の企業、団体などの要望がそのまま日本の対処方針になることは難しいです。アマチュア業務に関わる新技術や災害対策に関するものなど国内にあまり利害対立のないものもあります。

 一方でこのような国際会議では、Contribution(寄与文書)を提出しなければ意見の主張はできません。最近の会期のWP5Aにおけるアマチュア業務関係の寄与文書の提出状況は以下のとおりです。

 

2015-2019年

 WP5Aへ提出された全寄与文書1092件(内日本提出70件(共同提案2件を含む))、この内アマチュア業務関係50件(IARU:18、ロシア:6、スイス:5、フランス:5、WP6A:4、WMO:2、オーストラリア:2、カナダ2、スイス・フランス・オランダ・ノルウェー:1、WP5C:1、フランス・スイス:1、WP3K・WP3M:1、USA:1、ウクライナ:1)

2012-2015年

 WP5Aへ提出された全寄与文書744件(内日本提出40件)、この内アマチュア業務関係54件(ロシア:12、USA:12、IARU:9、中国:6、カナダ:5、WP5C:3、WP7C:2、UK・オランダ・ノルウェー:1、TelefonAB-LM Ericsson:1、オランダ:1、ノルウェー:1、WP5B:1)

2007-2012年

 WP5Aへ提出された全寄与文書795件(内日本提出62件)、この内アマチュア業務関係52件(USA:11、カナダ:11、IARU:10、WP5B:3、UK:2、ドイツ:2、オーストラリア:2、WP6A:2、WP5C:2、中国:2、ブラジル:1、ITU-D SG2:1、TelefonAB-LM Ericsson:1、WP3L:1、オランダ・スウェーデン・UK:1)

 

   なお、アマチュア業務関係の寄与文書であるかどうかの判断は、寄与文書の内容は登録したユーザ(TIES User)でないと見えませんが、TIES Userで無くても見ることができる表題から判断しました。また、IARU(International Amateur Radio Union)はITUのSector Memberであり、WP5Aに参加し寄与文書を提出することができます。

 

 JARLからもWP5Aには出席者を出しているようですが、ここ3会期では日本からアマチュア業務関係の寄与文書の提出は全くないです。世界第二位のアマチュア局数を有する国として、もう少し国際貢献と国際会議での存在感を示すことが必要だと思います。

 

 

非常通信について

 過去数々の実績と成果があり、アマチュア局による社会貢献の最たるものだろうと思います。

 電波法第52条で、無線局は「免許状に記載された目的又は通信の相手方若しくは通信事項の範囲を超えて運用してはならない。」と規定され、無線局の目的外使用が禁止されていますが、その例外として同条第4号で非常通信が認められています。非常通信は、地震、台風、洪水、津波、雪害、火災、暴動その他非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合において、有線通信を利用することができないか又はこれを利用することが著しく困難であるときに人命の救助、災害の救援、交通通信の確保又は秩序の維持のために行われる無線通信と規定しています。

 この条文をそのまま読むと、非常通信を行うための前提条件がかなり厳しいと思われますが、以下の総務省の説明にあるように、この規定の運用はかなり柔軟に行われているようです。

www.tele.soumu.go.jp

 大災害発生時等において、非常通信を円滑にかつ効率よく行うためには、非常通信を行う際の体制整備を事前に行うことが不可欠です。

 災害対策基本法に基づき内閣府に置かれた中央防災会議が作成する災害対策基本計画では、「第2編 各災害に共通する対策編」・「第6節 迅速かつ円滑な災害応急対策,災害復旧・復興への備え」・「2 情報の収集・連絡及び応急体制の整備関係」・「(3) 通信手段の確保」に以下の記載があります。

www.bousai.go.jp

----------------------------

○国,地方公共団体等は,災害時の情報通信手段について,平常時よりその確保に努め,その整備・運用・管理等に当たっては,次の点について十分考慮するものとする。

(前略)

・携帯電話・衛星携帯電話等の電気通信事業用移動通信,業務用移動通信,アマチュア無線等による移動通信系の活用体制について整備しておくこと。なお,アマチュア無線の活用は,ボランティアという性格に配慮すること。

(後略)

----------------------------

 基礎自治体の防災会議が災害対策基本法に基づき作成する地域防災計画において、アマチュア無線団体を災害発生時の情報の収集・集約、防災関係機関等への情報提供を行う団体として明確に位置付けて、その団体に対して他の防災関係機関と同様に260MHz帯防災行政無線の陸上移動局を配置している例があります。

 災害発生時等における基礎自治体との協力連携の体制整備は、既に様々な形で行われていると思いますが、ここ数年大災害の発生が連続していることもあり、アマチュア無線の社会的存在意義の向上のためには非常に有効です。

 なお、電波法第74条第1項の「非常の場合の無線通信」は、アマチュア局において行われたことは過去一度もないと思います。

免許制度の簡素化について その2

 前にも書きましたように、欧米のような免許制度へ一挙に変わることは極めて難しい状況です。しかし、段階的にはあり得るのではないかと考えています。

 移動する無線局であるアマチュア局の工事設計書では、「送信空中線の型式」を空欄とすることができます。空欄にすれば「送信空中線の型式」は、特定の型式に限定されないことになります。つまり何ら手続きなしに空中線の型式を変更できるということです。

 例えばこれを拡大して、無線設備が適合表示無線設備(技術基準適合証明を受けた無線設備、工事設計認証を受けたメーカー等が製造した無線設備等)であるときに、工事設計書における当該無線設備に関する記載を省略することができれば、運用する設備が適合表示無線設備である限り無線設備の変更手続きは不要になります。

 指定事項における電波の型式は、電波の型式を表示する記号が告示で定められており、一つの記号に複数の電波の型式を含む包括的な表示としております。既に指定されている記号に含まれる電波に型式であれば、これまで電波が発射できない電波の型式を追加する場合であっても指定事項の変更手続きは生じません。

 例えばこれを拡大して、指定事項については、その免許申請者又は免許人が持つ資格の範囲で通常免許される空中線電力、電波の型式及び周波数を全て指定すれば、上位資格を取得しない限り指定事項の変更は生じないでしょう。

 無線設備が適合表示無線設備であるという前提条件を置く時点で、免許人の自己管理という制度からは程遠いものとなります。また、容易には実現できないかも知れませんが、もし実現すれば相当な手続きの簡素化になるだろうと思います。