JARLの委員会における課題

 JARLには複数の委員会が設置されています。委員会については、「定款」、「規則」及び「委員会の設置及び運用に関する規程」に規定があります。

 定款第66条第1項で定める「専門の事項に関し、理事会を補佐するために委員会を設ける」及び委員会の設置及び運用に関する規程第2条で定める「連盟の行う事業に関して専門的事項について理事会の諮問事項を検討」の意味する委員会の任務は、理事会による業務執行の決定のための審議を効率よく行うためのものであると考えられます。17人の理事のうち16人が非常勤であり、理事会の開催も年5~6回程度ですので、全ての案件の検討を理事会の中だけで完結させることは不可能です。

 委員会は理事会から諮問された事項に関し、関係する情報の収集・調査・分析、関係者や有識者からの意見聴取等行い、諮問事項に関わる論点を整理して、選択肢がある場合にはそのメリット・ディメリットの比較検討を行い、これらを総合的に評価し論理的・合理的に検討して結論の案をその理由・根拠とともに記載した文書が理事会への答申です。理事会は答申をベースに審議し、業務執行の決定を行うのですから、委員会の答申はJARLの運営において非常に重要なものとなります。

 しかし、私が出席した理事会において、委員会からの答申が文書化されておらず、口頭説明だけであるものがあったこと、答申が結論だけで理由の説明がないものがありました。このため、理事会での審議が白紙からの議論となり、委員会での検討がほとんど無意味となるケースがありました。答申がその理由・根拠とともに文書化されていなければ、過去の業務執行の決定の経緯をレビューすることもできません。

 また、規則第34条では「年度を越えて検討を継続する場合には、各年度ごとに中間報告を行わなければならない。」と規定されていますが、中間報告はほとんど行われておらず、個々の諮問に対する検討の進捗状況が全く把握できない状況です。理事会が検討状況をみて、委員会に対して追加の検討を要請する場合や検討の方向性を修正することもあり得ます。

 委員会への諮問、委員会からの答申及び中間報告の適正化を図るため、第48回理事会へ以下の議案の提案をしましたが残念ながら否決されました。

 「委員会への諮問及び委員会からの答申の適正化を図るための理事会規定及び委員会の設置及び運用に関する規程の一部改正並びに委員会からの中間報告の徹底について」

 定款の規定にあるとおり委員会は答申を通じて理事会を補佐し、法人としての意思決定に関わる重要な役割を負うものです。今後も委員会の運営の適正化に努力したいと考えています。

 

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定 款(抄)

第66条 本連盟は、専門の事項に関し、理事会を補佐するために委員会を設ける。
2 委員会には、委員長1名、委員若干人を置く。
3 委員長は、会員の中から理事会の決議を経て選任し、委員は、委員長の推薦によって会長が委嘱する。

 

規 則(抄)

第9章 委員会
(委員会の報告)
第34条 連盟が設置した委員会が設置目的である検討事項の検討を完了したときは、委員長から会長に報告書を提出するものとする。なお、年度を越えて検討を継続する場合には、各年度ごとに中間報告を行わなければならない。
(解散)
第35条 会長は、委員長から検討完了の報告を受けた時は、理事会に諮ってこれを解散することができる。

 

委員会の設置及び運用に関する規程

(目的)
第1条 この規程は、定款第66条の規定に基づき、委員会の設置及び運用に関し定めることを目的とする。
(委員会の任務)
第2条 委員会は、連盟の行う事業に関して専門的事項について理事会の諮問事項を検討し又は事務局の業務の一部について、その処理を援助するものとする。
(実務委員会)
第3条 前条の事務局の業務の一部についてその処理を援助する委員会の設置及び運用に関しては、委員会ごとに定める。
(委員会の設置)
第4条 委員会は、理事会の決定により設置される。
2 委員会の設置期間は、原則として理事会がその設置を決定した日から、役員の任期満了により改選された新役員による理事会において委員会の設置が決定されるまでの間とする。なお、同日以降引き続き委員会を存置しようとするときは、理事会の決定に基づき新たな委員会として設置し、その任務を引き継ぐものとする。
3 委員会が、その任務を達成したとき又は理事会が委員会の存続の必要がないと認めた時 は、前項の規定にかかわらず期間中であっても、当該委員会を廃止することができる。
4 委員会の必要とする設置期間を見込める場合は、第2項前段の規定にかかわらず、その期間を限定した委員会を設置することができる。
(委員会の構成)
第5条 委員会は、委員長及び委員をもって構成する。
2 委員会に顧問をおくことができる。
3 会長は、理事会の推薦に基づき、委員長及び顧問を人選し、当人の同意を得て、それぞれその職を委嘱する。
4 会長は、委員長の推薦に基づき、専務理事と協議して委員を人選し、当人の同意を得て、 その職を委嘱する。
5 委員長及び委員は、正員である者とする。
(委員長の解職)
第6条 会長は、委員会が廃止されたときは委員長、委員及び顧問を解職するものとする。
2 理事会は、委員長又は顧問がその職に不適任と認めたときは会長に委員長又は顧問の解職を要請することができる。
3 会長は、前項の要請があったときは委員長又は顧問を解職することができる。
4 委員長は、その職に不適任と認めた委員の解職を会長に要請することができる。
5 会長は、前項の要請があったときは専務理事と協議し、当該委員を解職することができる。
(委員会の開催)
第7条 委員長は、専務理事と協議し、委員会を開催する。
2 理事会は、必要と認めたときは委員会の開催を要求することができる。
3 前項の要求があったときは、委員長は速やかに委員会を開催しなければならない。
4 委員会は、必要があるときは参考人の出席を求め、意見を聴取することができる。
(文書委員会)
第8条 委員会は、文書による委員会を開催することができる。
2 前項の委員会の開催には、前条第1項の専務理事との協議は要しないものとする。
(分科会)
第9条 委員会は、必要により分科会を置くことができる。
2 分科会は、委員長の指名する委員及び学識経験がある専門委員をもって構成する。
3 会長は、委員長の推薦に基づき、学識経験がある者から専門委員を人選し、当人の同意を得て、その職を委嘱する。
4 分科会に長を置き、委員長の指名する委員がこれに当たる。
5 専門委員の任期は、その分科会の属する委員会の委員の任期に同じとする。
6 会長は、委員長の報告により、分科会が廃止されたとき又は専門委員としての任務を達成したと認めるときは、前項の規定にかかわらず、その専門委員を解職するものとする。
7 第6条第4項及び第5項の規定は、専門委員の場合に準用する。
8 分科会の運営に関し必要な事項は、委員長が定める。
(報告)
第10条 委員長は、委員会を開催したときは委員会の検討結果及びその結果を、その都度会長に報告するものとする。
2 前項の検討の結果、諮問事項について結論を得たときは、結論を会長に答申するものとする。この場合、委員会の存置又は廃止についての意見を答申に付するものとする。
3 理事会は、第1項の報告又は前項の答申について、委員長の出席を求め、説明を要求することができる。
(内規)
第11条 委員会の内規は、委員長が専務理事と協議し作成するものとする。
(委員会の事務)
第12条 委員会の事務は、事務局があたるものとする。

附 則
 この規程は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第50号)第121条第1項において読み替えて準用する第106条第1項に定める一般社団法人の設立の登記の日から施行する。